精神医学

スタッフ

教授 笠井 清登
准教授 神出 誠一郎
准教授 安藤 俊太郎
講師 榊原 英輔
講師 近藤 伸介
講師 市橋 香代

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研究概要

一般人口における精神疾患の生涯有病率は46.4%にも上ります。疾患による社会的損失の指標であるDALYsによれば、精神疾患は全疾患中トップの損失であり、特に10-20代の若年で占有率が大きくなります。これは、精神疾患を持つ人の1/2が10代までに、3/4が20代までに初発し、慢性に経過することによります。このように、精神疾患は有病率が高く、社会的損失が極めて高いため、ガン、生活習慣病と並ぶ三大国民病といっても過言ではなく、早期の支援は国家的課題です。

このような背景から、当教室では統合失調症、気分障害、発達障害などを対象として、ニューロイメージング研究、コホート研究、遺伝子研究、モデル動物研究、心理社会的研究などを駆使した統合的アプローチを行うことにより、精神疾患の理解と支援を目指しています。

具体的には、思春期に始まる精神疾患の早期支援法開発研究、思春期のこころの発達についてのニューロイメージング研究・コホート研究・遺伝子研究・モデル動物の統合的研究、精神疾患における医療機器や薬剤の診断・治療への有効性を確立するための臨床試験などを行い、最終的には当事者の利益に結実させることを目標としています。中学や高校のこころの健康授業の開発や効果検証、22q11.2欠失症候群の心理社会的ニーズの質的研究など、教育、心理、社会分野にも研究の幅を広げています。

当教室は研究者育成にも力を入れています。大学院生に対し、研究デザイン策定、統計学的解析、英文論文執筆・リバイズ、倫理規定の遵守、倫理委員会への申請書作成などを実践的に指導するclinical research training program (CRTP)、大学院生リトリートなどの教育プログラムも豊富に提供しています。

臨床医出身の方々はもちろんですが、最近は分子生物学や実験心理、臨床心理・精神保健福祉系の若手も増えてきております。

研究項目

1. 神経画像・神経生理計測による精神疾患の病態解明、補助診断法開発

MRI、fMRI、NIRS、脳波計測などのマルチモダリティ脳画像解析、各種介入による精神疾患の改善と神経画像を用いた効果予測・判定法の開発、神経画像のデータベース整備(先端バイオイメージング支援プラットフォーム https://www.nibb.ac.jp/abis)などに取り組んでいます。日本を含めたアジア諸国の研究施設が参画するAsian Consortium on MRI studies in Psychosis(ACMP)コンソーシアムや本学IRCN(ニューロインテリジェンス国際研究機構)との連携も行っております。

2. 社会精神医学研究

思春期のこころの発達に関する一般住民を対象とする大規模コホート研究(東京ティーンコホート http://ttcp.umin.jp/)、当事者化と共同創造のプロセスについての文理融合型研究(https://tojishaka.net/)、精神疾患に対する心理社会的介入の効果研究、大震災後のこころの問題に関する疫学研究、統合失調症における主観的リカバリーの質的研究、精神病の多様なリスク因子とその予後の検討、22q11.2欠失症候群を有するAYA世代の心理社会的支援を目指した質的・量的研究、中学・高校生を対象としたこころの健康教育教材の開発研究などに取り組んでいます。

3. 血液、死後脳サンプルを用いた、精神疾患のゲノム・エピゲノム研究

マイクロアレイを活用したゲノムワイド関連研究、次世代シークエンサーを活用した変異の探索、分子マーカー探索のためのオミックス解析などを進めています。こころの発達医学分野との連携も盛んです。

4. 基礎神経科学研究

主に精神神経疾患モデル動物を用いて、分子病態の理解・新規治療法の開発を目的として研究を行っています。細胞レベルからモデル動物を対象として、組織学・分子生物学・電気生理学・行動学的な解析を行うことにより、精神疾患を分子から行動レベルまで統合的に理解することを目標としています。トランスレータブルな脳指標の開発など、患者―ヒト―非ヒト霊長類―マウスにおける双方向性のトランスレーショナルアプローチにも取り組んでおり、医学部の神経科学系研究室との連携も盛んです。

大学院生募集

医師のみならず、臨床心理系、精神保健福祉系、実験心理系、情報工学系、分子生物学系などのPh.D.を目指す方々も歓迎しております。

当教室の研究は、分子神経科学領域の基礎研究から画像中心の臨床研究、疫学・心理社会的研究まで、幅広い領域の研究が可能であることが特徴です。

大学院への入学状況:毎年、平均5名程度

外国留学

学位および、医師の場合は指定医も取得した後が望ましい。医局としては積極的に援助します。

留学状況:

これまでの留学先は、米国Harvard大学、National Institute of Mental Health (NIMH)、University of California, San Diego、Virginia Commonwealth University、カナダUniversity of Toronto、英国University College London、King's College Londonなどがあります。

Publication list

連絡先

E-mail

JIMU-PSY@h.u-tokyo.ac.jp

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