こころの発達医学

スタッフ

准教授 金生 由紀子

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研究概要

自閉症や注意・欠如多動症(ADHD)などの発達障害をはじめ、「きれる」子ども、児童虐待などこころの発達の問題は増加の一途をたどっており、医学・医療により強力な対応が求められています。一方、脳神経医学の視点からこころの発達を捉え、臨床と研究を結びつける試みは十分ではなかったと言わざるを得ません。そのような現状に対応すべく、2010年4月にこころの発達医学分野が脳神経医学専攻統合脳医学講座に新設されました。大学院医学系研究科で児童精神科医が教室主任を務める本格的な児童精神医学教室としては我が国で最初です。これまで約40年間にわたり医学部附属病院の精神神経科小児部、さらには「こころの発達」診療部として児童精神医学に携わり、研究体制の充実を目指してきたことがようやく形になり、一歩ずつ前進しているところです。

研究対象としている主な疾患は、自閉症を中心とする自閉スペクトラム症、ADHD、重症なチック症であるトゥレット症候群、児童思春期強迫症(OCD)であり、対象のリクルートにあたっては、医学部附属病院こころの発達診療部を臨床フィールドとして活用しています。現在実際に採用している研究手法は、1)客観的(科学的)な臨床評価に基づく精神・行動指標の解析、2)神経心理学、3)脳神経画像、4)遺伝子、5)介入研究です。これらの研究の多くは協力関係にある精神医学教室との連携の下で行われていて、人的交流も知識の交流も活発です。

脳神経医学に関わる研究室が多数活動している中で、こころの発達医学分野が存在している理由としては、精神医学に発達の観点を導入する必要があると認められたからと考えています。精神(こころ)の基盤にある脳、その構造・機能が環境との相互の関係の中で発達していき、その過程で様々な偏りや問題を呈してくる状態を科学的に捉えることをその使命としています。主導的に研究を推進できるような力を十分に身につけた児童精神科医、臨床と連携できる脳とこころの発達の研究者などを養成して、この分野の基礎と臨床の橋渡しをして研究の発展に貢献したいと思っています。

研究項目

Publication list

連絡先

E-mail

kano-tky@umin.ac.jp

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