脳神経医学専攻について
専攻長 尾藤 晴彦
東京大学大学院医学系研究科・脳神経医学専攻は、基礎神経医学講座(神経病理学、神経生化学、神経生物学、神経動態医科学(理研))、統合脳医学講座(発達脳科学、認知・言語神経科学、システム脳医学、こころの発達医学、感覚・運動神経科学)、臨床神経精神医学講座(精神医学、神経内科学、脳神経外科学)の3講座、12分野から成りたっています。本専攻の他にない際だった特徴は、臨床系と基礎系の講座が組み合わさり、専攻外の分野とも連携して、一体となってニューロサイエンスの研究を行っているという点にあります。
基礎神経医学講座では、主に実験的な手法を用いて神経変性、シナプス可塑性、細胞内分子動態、神経回路構築などを対象に研究を行っています。これらの研究は臨床応用と密接に結びついたテーマでもあり、臨床分野との共同研究も盛んです。統合脳医学講座は、主にヒトを対象として高次脳機能の研究を行っています。健常者から疾患までを広く対象とすることにより、実験的研究と臨床の橋渡しをする役割も果たしています。臨床神経精神医学講座では、精神科、神経内科、脳神経外科領域の疾患を対象とした研究が行われています。脳神経系に生じる疾患の病態メカニズムにはまだ謎が多く、その理解と、治療法のない病気を治すことを目的に、基礎研究分野と緊密に連携し、研究を進めています。
脳神経医学専攻は、脳科学研究を共通のキーワードとして、基礎から臨床までシームレスに研究を推進するひとつの集合体として発展しています。どの分野にも若い力が満ちあふれており、若手を軸に連携を強めることを目的に、若手研究者発表会を定期的に開催し、また日頃からも分野間、臨床・基礎の垣根をできるかぎり低くし、活発な議論と共同研究を進めています。
私たちの専攻は、脳の仕組みの理解から疾患の治療まで、幅広い関心を持つ学生・若手研究者を歓迎します。また、医学系に限らず、様々なバックグラウンドを持った若手に、脳神経研究に入っていただきたいと念願し、門戸を開放しています。当・脳神経医学専攻を卒業された若い力が世界に羽ばたき、次代の神経科学の担い手となることを確信しています。